ワタリガラスに色づけをしました。これは先日杉の木から作ってトーテムポールとして柱の頂部に設置するものです。私の庭ではなく知人の山小屋に設置するものです。ワタリガラスは日本では北海道でごく少数見られることがあるそうですが、北半球にはごく普通に見られるカラスのようです。このワタリガラスを神聖なものとするのが北米の先住民族であるハイダ族、クリンギット族のいわゆるインディアンです。いまではネイティブ、ファーストネーションとも呼ばれます。私は彼らを知りませんが星野道夫の本を参考にオリジナルのワタリガラス像を造りました。
カラスは多くの国で神聖な生き物として扱われていました。日本でも八咫烏(やたがらす)の例もあります。北米ではトーテムポール文化のある西海岸、アラスカ、ユーコン沿岸 に住むクリンギット族、ハイダ族のうちにワタリガラスを先祖とする家系があり、烏をトーテムポールにするようです。彼らは、写真を見ると着色には黒と赤を基本に青、緑、白、黄色が少し使われるようです。私もそれをヒントに色づけしました。模様の形に意味があるのかどうかは判りませんが、よく使われているような柄や烏の形にふさわしそうに工夫しました。着色しないところがあるのもトウテムポールの特徴のようです。 トーテムポールは木の文化ですからそのうちに朽ちて形を失います。日本人の生活形態とも共通のものがあります。カナダ西海岸にクイーンシャーロット島という群島には先住民が多く住んでいた地域のようで、朽ちたトーテムポールが見られるようです。いまはこのクイーンシャーロット島といういかにも植民的地名ではなく、ハイダ・グワイと呼ばれているようです。ハイダは「我々」という意味でハイダ族という部族名でもあります。ハイダ・グワイは「我々の島」という意味で、州政府も法制化し、決まりました。
ワタリガラスは創世神話の主人公ですがそのいわれは、ワタリガラスが海を飛んでいると大きな炎を見たそうです。近くにいたタカにあの炎を取ってきてほしいと頼みました。タカは炎に焼かれながら持ち帰り、ワタリガラスはそれを地上に、雪の中へ投げ入れ、すべてのものに魂がもたらされた。というものです。すべての山、川、草、木、動物そして人間がワタリガラスによってもたらされたのです。また、まだ地上に光も水もなかったときワタリガラスが飛んでいると、絶え間なくわき出る泉を見つけその泉の水をワタリガラスが飲み込んでそのしずくを落とすとそこネス川ができ、次々と水を落とし‥‥サケが上がってくる渓流となった。というのもあります。 これを知人の庭の枯れてしまった木の上に載せたいと思っています。

星野道夫著「森と氷河と鯨」、ウィキペディアを参照しました。