もうそろそろ梅雨明けでしょうか。立夏はとうの昔に過ぎたような感覚です。きょうは「大暑」、まったく夏らしくない大暑です。いま午後四時半で27.6度、76%とても蒸し暑い一日でした。孫の机作りをしていましたが材料を何度も作っては取り替えを繰り返してようやく夕方近く杉の板を二枚ハギにして天板を作りました。55cm×120cm×4cmのサイズです。節穴がいくつかありましたが接ぎ合わせに使った接着剤に細かいオガクズを混ぜたパテで埋めました。杉は好きな木です。いかにも日本らしく、木目が趣を生み出しています。柔らかい木なので机にはほとんど使われないのですが、いま、塗料がよいものがあって、ある程度表面を固くしてくれるものがあるので、利用範囲が拡大したということでしょうか。

家の前の芝のむこうに夏椿があります。10年くらい前に植えたものです。5センチくらいの白い花がたくさん咲きますが、庭には草花がたくさんあるので視線はいつもやや下向きになるのは自然の成り行きです。高いところに咲く花木はつい観察や鑑賞がおろそかになります。でもこの花は花の少ない梅雨時の芝の上に白い花そのままの形で落ちてきます。緑の芝に白い花が散り敷いているのはなかなかいい風情なものです。いかにも潤いに満ちた梅雨時の景色ではありませんか。
花がみな上向きで落ちてくるのは中心の雄しべ、雌しべの部分が重いので重力の関係でみな上向きになり、好都合なわけです。
わが家の花にはときどき花弁にピンクが狭い範囲ですが混じることがあります。こういう品種もときにあるらしいのです。いま、花の色に関心があって少し調べているのですがなかなか奥が深く、判っていないことがまだどっさりあるようです。花の発色構造を研究している研究者もたくさんおられるようで、研究論文の多さに驚きました。まだ見たことのない世界が身近な事柄にもあるものだなーと思わされました。
ちなみに夏椿の別名はシャラ(沙羅)です。ヒメシャラというもっと花が小さいものもあります。花の形のまま落ちてくるので合弁花かと思うと五弁の離弁花だそうです。
平家物語の冒頭にも「‥沙羅双樹の花の色盛者必衰の理をあらわす‥」とあります。花の色というのは白い花色のことではなく、花の形のまま落ちてくるその気配のはかなさをいっているのでしょう。

地に落ちて沙羅はいよいよ白き花  (山口 草堂)