「これから登りたい山」リストというのが私にはあります。リストといっても表になっているわけではなく、その山に登るために必要な範囲の地図を国土地理院地図からプリントアウトして、それをクリアーフォルダーに入れてあるだけです。でもこれはけっこう役に立ちます。当日朝でも、前日の夜でも、天気がいいからどこか行こうというとき、このホルダーからその日の気分にあった山を選べばいいのです。あれこれ迷ったり、たくさんの地図をたぐらなくても即決です。今回選ばれたのがいままでチョイスされなかった留夫山でした。かなり地味な山。運動不足気味なので歩数の稼げる山で、あまりしんどくない山、という注文にぴったりの山です。9時30分峠出発。いきなりタクシーの運転手さんが手招きしている。「これから山へ行くので、タクシーには用はない」と思いながら近づくと「この道まっすぐ行けば横川に行けますよね」私、「車では行けませんよ」なんと愚かな答えか、運転手さんごめんなさい。「いまイタリア人下ろしたんだけど」行けるか心配だというわけです。さっそくあとを追って、でも彼らは案内書を持って準備万端。道にはこんな標識も 私はこの分岐を上に

これからのルート登り始めは快適な広葉樹林
地図にある一の字山はまだかと思いながらとっくに通過したらしい。ここまで30分、二の字山の少し手前。
ここまでは白い花ばかり、シロヨメナだ。
二の字山を過ぎるとヤマトリカブトが色濃く咲く。
トモエシオガマ、ピンぼけですみません。
カラマツソウ
頂上近くにウチワタケというそうです枯れ木にぎっしり。
頂上です。ひらけた平ら。展望はありません。道中展望のあるところはついに一か所もなし。おかげで自分が登った山の形も今回は不明!。でも静かないい山です。それに急な坂は頂上直下のみ。つま先上がりのちょうどよい傾斜ばかり。岩は、小さな石を含めてどこにもなし。道はすべてこの付近の火山活動による軽石粒と火山灰の砂のみ。水はけ抜群で、連日の雨にもかかわらず水だまりやぬかるみはまったくなしでした。
なんと一等三角点。標石の大きさが違います。
帰路、登った山の姿を見ようと、やや樹林の薄い高みへ、道をそれて登ってみました。樹の間越しにそれらしいピークが見えましたが、はっきりとはしません。しかし、大変な付録がありました。写真を撮ったあと下を見たら、足下に子鹿が木の陰にうずくまっていたのです。心臓が大きく波打っています。母鹿がすぐ近くにいるのでは、と思って周囲を見ますが、何もいません。そもそもこんなところにうずくまっていること自体おかしいと思いました。たぶん親から離れて時間がたっているのです。体力がないので、私が近くにいても立ち上がることさえできないのではないかと思いました。ここのすぐ東斜面は急な崖になっているので、誤って母鹿が落ちてしまった?この辺に母鹿を襲うような天敵はいないはず。でもいま私ができることは何もない。せめて母鹿が戻ること、今晩強い雨が降らないことを祈るだけ、私は静かにそこを離れました。
帰路も終わりに近づくと、登りでは気づかなかった大きな木が目に入ってきました。苔むしたカヤの大木。
うろができたブナの古木  まだ壮年のミズナラ
帰路、明治天皇の峠での御繕水に使われたという水源を訪ねました。持ってきた器に少し頂戴して家で緑茶をいただきました。