「ユートピア」トーマス·モア著 岩波文庫

イギリス文学の古典で、1516年、ラテン語で書かれました。文庫の表紙にこの本の概略が次のように書かれています。

表題のユートピアとはどこにもないと言う意味のトマスモアの造語である。モアが描き出したこの理想国は、自由と規律をかね備えた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し、「戦争で得られた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史上第一級の古典であるだけでなく読み物としても十分面白い。

とこのように記されています。

ロシアのウクライナ侵攻の最中、改めて理想的な国のあり方について考えてみることも無駄ではないかと思います。
時代は中世です。
専制的国家や宗教からの軋轢に苦しみ、人々は出口を求めていたのでしょう。そんな中に「ユートピア」が出版されました。
前半は理想的な国ユートピアはどんな国か、ということをそこに滞在した者の話です。
国民は私有財産を持たない。国の基本は農業、全国民が2年づつ農業に就く、都会とのローテーションです。衣、食、住、全てのものが国から支給されます。食料は前記のようですから、余るほど収穫できます。いわば共産国家ですね。でも読んでいて「こんなこと可能かな」と思うと、その後に解決策が用意されています。なかなか興味深い本です。
ロシアが共産国であったことが皮肉です。