わたしの周りの人が、今日は天気がよいから、という。そうかなー、せいぜい午前中くらいだろうと思いながら、それでも雨降りはないものと期待して、雨傘を持たずに散歩に出ました。近くにはもう目新しいところがないので、少し足を伸ばすつもりで出てきました。万年橋を南に渡って、川戸の神社あたりまで行ってみようという心積もりです。神社までは片道3km余りでしょう。神社はいつも前を車で通り過ぎるだけで中に入るのはきょうが始めてです。大きくはないが立派な神社です。

由緒略記によれば、南北朝の14世紀頃の勧進というから古いものだ。むかしは首宮大明神といったのを、明治初年頃川戸神社と改称したとある。誰の首かといえばここは吾妻、吾妻太郎行盛の首級を祭ったのだという。宝物も行盛の使った太刀や長船の短刀などが在ったらしいが、慶応年間にことごとく焼失したという。来てみればそれなりに興味深いことを知りました。

ここにも道祖神がありました。

横道にそれますが、つぎの道祖神はきのう、中之条の沢渡、反下を歩いたときの道祖神です。

こちらは沢渡手前の湯原、変わった道祖神です。赤ん坊を二人で抱いているようです。はじめて見ます。
もともと道祖神は子孫繁栄ですから当たり前ですが。
こちらは下反下、ごく普通のものです。
話を元に戻します。
この周辺の集落を上之宮といいます。集落の中を歩いてみました。歩き始めてすぐ、水の音が届いてきました。いたるところに水路があるのです。細い道を縫うように歩くと、それこそ、機織りの縦糸、横糸のように集落中小川が流れています。ほんの細い流れですが鮮烈な流れです。あちこちに小川で用が足せるように水辺に下りる階段がついています。ほんの一、二段。水に親しめる距離だな、と思います。
小学校に入る前、母方の親戚が入間郡の寺に集まりました。そこで都会っ子の私は、寺の脇の小川に、きれいな水が勢いよく流れるのを見て大感激。思わず「もったいない!」と叫んで、皆に大笑いされたのを想いだします。ここの小川を見てそのときの場面を思い出しました。
まさに ♪ うさぎおいしかのやま、こぶなつりしかのかわ ♪です。

帰宅して地形図を見ると、ここは榛名山から流れる深沢川が、吾妻川に合流する手前の扇状地なのです。流域面積が広いので水量も、伏流水も豊富なのでしょう。水の豊かなところはなぜか人の心をほっとさせてくれます。

榛名山北面には似た規模の沢はほかにもありますが広い扇状地を持つのはここだけです。ほかは単に吾妻川の河岸段丘です。自然の地形で偶然にここは水の豊かな集落になったのでした。