上毛高原駅の北西にある大峰沼を一周しようと家を出ました。八時前に登山口の駐車場に着いていよいよと思っていると、アブが車に突進してぶつかる音がコツンコツンと聞こえます。アブは仲間が集まる習性があるようで、だんだん数を増してきます。蚊取り線香は持ってきましたが、防虫ネットまでは気が回りませんでした。戦意喪失。猿ヶ京の相俣ダムに下って、ダムの見物とさかささくらを見物しました。ダムは絶妙の立地にあり谷が極度に狭まったところで、従って堤体はとても幅が狭く経済的なダムという気がします。
逆ささくらは古木がのたうつようで迫力を感じさせます。桜の種類は書かれていませんでした。
隣のマツ科の木の松ぼっくりが印象的でした。
ハイキングができなかったので二つ目のきょうの目標である「群馬用水を追っかけろ!」に出かけました。
群馬用水とは高度成長期に奥利根のダムが作られたときに群馬の水資源として計画されたものです。沼田の南、綾戸ダムで利根川本流から取水し、4km下流の地図上の上白井というところで二つの幹線に分岐し、榛名幹線は黄色線で示し、子持山山麓、榛名山東山麓を通って高崎の鳴沢湖に注ぎます。一方、赤城幹線は、見にくいですが薄いオレンジの線で、赤城山南麓を通って桐生の早川貯水池に至ります。

取水口の綾戸堰です。東側から右岸を見ています。JRと国道17号が通っています。白い建物が群馬用水の取水口です。
この堰は東電の佐久発電所の取水のためのものです。当初赤城幹線は左岸で取水したほうが便利なのでその計画でしたが、左岸にはすでに発電所の取水口があるため、右岸一箇所からの取水となり、途中で分岐することになったのです。
堰の上は板張りで、右岸左岸を徒歩で行き来できます。国道上に安全な駐車地点はありません。
軒下に水資源機構 群馬用水取水口と看板が出ています。
帰るとき振り返ると、係員の方が取水口のごみを掃除していました。ちなみに発電所側の取水口は自動化されていました。
地下を通ってきた水は分水地点で地表に出ます。ここを赤榛分水工といいます。
ここで分岐します。どちらも少し段差がついていました。素人判断ですが、下流側の水位が分水比に影響を与えないためではないでしょうか。
分岐直後の赤城幹線。この後すぐ利根川をサイホン水道橋で左岸に渡ります。
一方の榛名幹線はすぐに地下トンネルになってしまい、次に地上に出るのは、子持山南麓の双林寺(双は本当は古い漢字)のすぐ北側です。
また地下にもぐります。
JR吾妻線、金島駅から南東1kmのところに、吾妻川サイホン水道橋があります。行き止まりの道から太い導水管が見られます。夏ですから金属の管は汗をかいていました。
今回はここまで、とても暑い半日でした。行動をともにしてくれた家人に感謝。

群馬用水の概略

当初農業用水としてスタートし、1980年から水道にも転用。
農業用水: 榛名東山麓、赤城南麓6300haを灌漑、最大12.442立方メートル/秒を供給。
水道用水: 前橋、高崎ほか8市町村に4.292立方メートル/秒を供給
利根川からの最大取水量: 19.30立方メートル/秒
榛名幹線: 総延長24km、最大送水量9.34立方メートル/秒
赤城幹線: 総延長33km、最大送水量9.87立方メートル/秒
管理: 水資源機構 群馬用水管理所

今年で通水50年