朝近所の散歩に出ました。静かなところを歩きたいので登山道のない尾根を上がってみようと山に向かいました。11月というのに樹の葉はまだは青々としています。落ち葉もたくさん散り敷いていますからまあこんなものかも知れません。尾根の取り付きのこのあたりはとても感じのよいところです。まるでハイキングコースのようですが道はありません。ごくまれに土地の人が入ることがあるようですが何か用事があって入るという場所でもないのです。
自然の植生に任せた良さがあります。尾根を三分の一くらい上がってふと上を見るとカモシカがいました。久しぶりの出会いです。生息数は以前より少なくなっていると思います。出会える頻度が大きく違うからです。ずいぶん白っぽさの目立つ個体です。カモシカは地域によって体色が異なるといわれますが、以前はもっと濃い色だったと思います。
この写真は10年くらい前の岩櫃山のカモシカです。ごく一般的でよく見る色です。単なる個体差なのか、グループが入れ替わったのか、個体数が少なくなってその隙間に異なるグループが入り込んできた可能性もあるかも知れません。素人の戯言ですが。
角がまだ短いので若いカモシカでしょう。カモシカは雄も雌も角を持っています。円錐形で後ろにやや湾曲しています。私は以前白馬岳の北方の沢を歩いていてカモシカの角を拾いました。10センチくらいのものでした。冬に備えてたくさん食べているのでしょう肉付きもいいようです。秋はカモシカの交尾期でもあるようです。普段は単独行動ですがよい相手に巡り会えるのでしょうか。
カモシカは好奇心が強く人がいても相手が近づいてこなければいつまでもじっと相手を見ています。「アオの寒立ち」という言葉もあるくらい寒い冬でもじっと動かないでいるようです。アオというのはカモシカのことをマタギはそう呼ぶのです。少しでも近づこうと足場の悪いところを追いかけますが、差は開くばかり。相手は急傾斜地が生活圏なのですから。 とうとう岩陰に見えなくなりました。明るい稜線まではいくらもありませんがここからは急傾斜です。散歩はこれくらいにしておきます。帰りの林道沿いにノンベエ地蔵があります。
右手にとっくり、左手に茶碗。あまり飲み過ぎませんように。
ニホンカモシカは国の特別天然記念物ですが、県によっては林業被害から駆除の対象になっているようです。大人の考えていることはよくわかりません。