天気予報で全国的に晴天。というので9日水曜早朝に家を出て谷川岳方面に向かう。ところが高山村から月夜野に向かう峠を越えると前方に広がるはずの谷川連峰は厚い雲の中。ラジオを点けると新潟方面は雨が上がったばかりらしい。昼頃に晴れてくるだろうとの報道にがっかり。予定では谷川連峰の芝倉沢の廃道になったコースを行けるところまでと考えていた。降雨直後なので沢にはいるのを諦めてさてどうするか。運転しながらあれこれ考える。ロープウェーで谷川岳に行っても下山するまでには晴れないだろう。安直に谷川岳向かいの白毛門山に決めた。標高が少し低いので山頂は雲に懸からないだろうとの都合のよい理由を付けた。白毛門山は私の記録にあるだけで今回で7回目のようだ。

7時50分出発。登山口から尾根に上がるまではブナ林である。
10分位歩くと尾根の上に出る。出たところのブナに矢印の切り付けがある。ブナはこのように樹皮に切り付けをするといつまでもそれが残る。あまり古くなると木も生長するので切り付けも不鮮明になるが何十年かは文字も判読できる。会津の山や谷を歩くと峠への入口や峠によく見かける。熊うちや山菜採りに来たという切り付けも仲間の名前と共に切りつけてあるのをよく見かけたものだ。これがブナ以外の木だとこのようには行かない。樹皮が傷口を巻き込んで塞いでしまうからだ。 ブナは尾根の上には生えない。尾根上を好んで生えるのは松類である。この白毛門山の尾根にもキタゴヨウが多い。しかしもっと多いのはネズコの巨木だ。黒桧(クロベ)ともいう。黒部渓谷のクロベはこの木が多いことから名付けられたものだそうです。盗伐を監視する黒部奥山廻りという役人も江戸時代にはいたそうです。まだ登山道もなかった頃のことです。あのすさまじい急傾斜の山中を縦横に歩いていたのです。

巨木が次から次へと出現します。 この滝は東黒沢に懸かる滝ですが、尾根を歩いているとこの遠くの水音が尾根の上にも音高く聞こえます。この沢音がよく聞こえるあたりが一番ネズコの多いところでもあります。 このあたりでNHKのグレートトラバースの田中陽希(ヨウキ)さんと撮影スタッフと出会いました。いま300名山踏破のときなのです。300名山選定のメンバーだったことを話すと、すぐに質問が返ってきましたが、昔のことで覚えていません。若い頃、日本山岳会の山日記編集委員をしていたとき300名山選定 に加わっていたことがあったのです。もう40年以上前のことです。 中央右寄りに富士山が見えました。(目をこらさないと見えません!)望遠でとらえた撮影隊、一時間近く差が付いてしまった。 白毛門沢源頭の岩壁とカエデの紅葉 谷川岳は雲の中 今回唯一の花 青空が山頂の上にもやってきた。山頂 山頂から笠ヶ岳、紅葉はまだ本格的ではなかった。 谷川岳東面の岩壁 山頂から東、宝川に下る尾根 立派なネズコ 午後1時10分登山口に戻る ようやく国境稜線の山の雲もとれてきた。 帰宅後のメキシカンセージが陽に映えて美しい。 センニチコウ