椅子を作るときは普段あまり使わない手道具が必要です。四方反り鉋(しほうそりかんな)もその一つです。普通の鉋の台は平らになっていて木を平らに、平滑に削れるようになっています。それに対してカンナ台が曲面になっているものがあります。木材を曲面のある凹部に仕上げたいときに使います。椅子の場合なら座面の一枚板をお尻の曲面のように削れば座り心地が格段によくなります。このときに使うのが四方反り鉋です。四方反り鉋は刃も曲線になっています。ですから作るのはちょっと面倒ですが、必要なら作らないわけに行きません。

今回作ったのは45mm×100mmの大きさです。ちょっと大きめですが手元にある一番小さなカンナの刃に合わせるしかないのでやむを得ません。
カンナ台はこんな感じに作りました。カンナ刃はこれからグラインダーで削って刃先を丸くします。
この刃は東京墨田区の井上刃物店の最高級の刃なので、安物の豆カンナなら3つくらい買える値段です。
従ってグラインダーで丸く研ぐのをこれまで躊躇してきたのです。
刃も丸く削って完成しました。刃を付けるのは以前井上刃物店に行ったときにご主人から丁寧に教えてもらっていました。
そのお陰でなまくらにならずにすんだようです。
カンナ台や刃のカーブ具合は使ってから修正していかなければなりません。
井上の刻印が見えます。

ちなみに木に曲面の穴を掘るだけなら丸ノミでも可能ですがノミは深さを均一にするのには適しません。
その点カンナは削る深さは均一なので、なめらかな曲面に削れるというわけです。
これで何を作るのかというと、一番年長の孫が来年中学生になるので、机と椅子をプレゼントしようというわけです。いまから完成が楽しみ。