三月の末とはいっても山はまだ冬枯れのままである。あさ目覚めて、何げなくまだ陽の当たらない無彩色の山を見ていると、山の端から大きく真っ白な雲のかたまりが朝日を浴びてむっくりと出てくるのが見えた。まるで舞台の袖から大きな張り子がゆっくりと出てくるようでもある。何気ない景色だけれど自然の造形の豊かさにおもわず気持ちが明るくなる。
雲はやがて形をくずしてただの雲になり、ちりじりになって消えていった。

近所の農家では畑仕事が始まった。ここは田をやるほどの豊かな水源がないので畑作だけである。この季節山の神は忙しくなる畑や田のある里に下りてきて秋までいて作物の豊饒を助けるのだ。秋分に近くになると、また山に帰るといわれる。その間山は留守なのだろうかと考えてはいけないのだろう。きっと。
いまはまた、暖かいところで過ごした鳥たちの移動のシーズンでもある。鳥の種類に変化が出始める。

木の枝がじゃまをして顔が判らない。アオジではないだろうか
レギュラーメンバー

わが家のサクラで一番先に咲くのはカンヒザクラ

チューリップも咲き始めました。