変な話だが、その山の名前は頂上に着くまで知らなかった。ナチラクサン(名知良久山)と云うそうだ。

同じ中之条町、蒿山の頂上にある展望図に、あまり聞き慣れない山名が、いくつか書かれていた。しかし、山の名前は覚えやすい名前ではないので、すぐ忘れた。だが、このとき、いつか登ってみたい山のリストに仮登録された。
吾妻川南岸の県道35号の通称「日陰道」の小野上温泉~市城あたりから見えるこの山塊が実に見事である。その姿は大きくて、山体のすべてが急傾斜で、どこにも登路を見いだすことができなさそうである。

そんな山に、私はまた腰痛になってしまったのだが、だましだまし歩けば何とかなりそうなので、試運転になぜかこの山が頭に浮かんだのだ。十二ヶ岳の方から登ればラクなのではないか、と思ったのである。すぐに地図を見ると、なるほどラクそうだ。不思議なものだ。無意識のうちに地図が頭に入っていて、意識上よりも、むしろ無意識の頭でこの山をチョイスしていたのである。
何はともあれ、12月11日11時十二ヶ岳登山口の駐車場に到着。15年ぶりくらいで、採石場はもう操業停止し、整理されてきれいになっていた。それと、このあたりを結婚の森と云うらしいが、なぜそう云うのか知らない。
地図で駐車場からすぐ林道(赤下線)に入って、200m位で右カーブするところから、林に入ろうと思っていた。行ってみたらそこにはかすかな踏み跡があった。以降、頂上までかすかな踏み跡は、ずっと続いていた。尾根の分岐には赤や、黄色のビニールテープが枝にまかれていた。それでも自分で、朽ちた丸太を並べて下山を間違わないようにしながら登った。
急な道はどこにもなく、腰痛持ちには大変ありがたいコースである。ただ、あちこちに熊の糞と思われる落とし物があるので、のんびり散歩というわけに行かない。頂上近くで尾根が2か所クランク状に曲がると、すぐ頂上だった。「山」と書いた標柱があった。標高に小数点以下の記入がなかったので、標柱はないのかと思ったらありました。木の幹に「名知良久山」と書いたプレートがあった。初めて山名を知りました。赤テープは反対側の急な斜面にも付いているのが見えた。けっこういろんなコースから登られているらしい。
「クタビレ爺の山日記」によれば、旧平村に名知良久という小字があり、一方、旧青山村では名字楽山という山名があったそうです。地元のお年寄りはナヂラクとも云うようです。私は頂上で山名を見たとき、一時期、皆に愛された落語家、柳亭痴楽を連想しました。オソマツでした。

案内図の左上が駐車場。

駐車場の前に標識がある。

 

こんなのがたくさんありました。

尾根状のコースは、ほぼこんな感じ。歩きやすい

頂上、花崗岩とコンクリと二つの同じ標柱がありました。

??なんと読むのだろうという感じ

頂上からは十二ヶ岳が見えた。