庭でイス作りをしていると、直ぐ前にあるカツラの樹でセミが鳴いている。見上げると太い枝に透明な翅のセミがいる。

ミーン ミンミンミンと鳴く。直ぐ手の届くところですごい音量だ。ミーン ミンミンミン ミーン ミンミンミン濁りのないきれいな鳴き声だが、頭のどこかの空間と共鳴したような頭のてっぺんががんがんするほどの音だ。同じ木の上の方からはオーシツクツク オーシツクツクと聞こえるが上のほうなので葉にじゃまされて姿は見えない。上と下でセミも住み分けしているのだろうか。
セミがよく来るこの桂の木は8月に入ったいま、もう葉を落とし始める。落ちた葉はすでにその辺りに散り敷いている。ときどき風の加減か、ふうーとカラメルのような甘い香りが漂う。桂の落ち葉の香りなのだ。だからといって落ち葉を拾って香りをかいでもあの香りはしない。やはり「ふうー」と漂う香りなのだ。樹液もこんなおいしそうな味がするのだろうか。
これからしばらくは虫の声に慰められるのだろう。