先日、書棚から昭和9年発行の日本山岳会誌「山岳」293に興味ある記事を見つけました。カナディアンロッキーのアルバータ(3619m)を初登頂した記事です。
ヨーロッパアルプスのアイガー東山稜を初登攀した槇有恒らの日本人パーティーがカナディアンロッキーでもっとも困難といわれたMt.アルバータを登ったのを三田幸夫が綴ったものです。

一行は1925711日ジャスパーを発ち、アサバスカ川を南進し、7日間かかって源流部の5500ft(1676m)にベースキャンプを設営しました。
721日、6800ft(2068m)のキャンプアルバータを340分に出発した。逆層でもろく、落石の多い岩を登り、山頂直前の70mの深いギャップを越えて山頂に達し、細川候のピッケルを立てそのまま下山。一時間下ってやや広いところで午後9時露営。夏なので10時くらいになって暗くなった。翌日は615分出発した。槇氏は頭に墜石を受けたりしながら、登りに劣らない困難を感じながらオーバーハングした岩場を下降した。41時間の長闘でキャンプアルバータに帰着した。

このスケッチは記事の写真をラフスケッチしたものです。左からの山稜をルートにして右のギャップを越えたところが山頂のようです。
この「山岳」は日本山岳会の図書交換会で手に入れたものではないかと思います。42号(昭和10年)の会報も折り込まれていました。

ネット上にこの初登頂のことに触れ、ご自身も登頂した記事を見つけました。参考にしてください。https://ymtours.exblog.jp/21274375/

なお、この「山岳」には他に「ウェストンと歩んだ頃」という63頁の長文の回想記も載っていました。