標高の低い岩櫃山は夏になるとめっきり登山者が少なくなります。ところがこのシーズンは岩櫃山が一番花で飾られるときなのです。
赤岩通りを歩くと、登山口にもキツネノカミソリがオレンジ色の花を咲かせています。しかしここから20分歩くともっと大きい群生地が稜線直下にあるのです。そこに行く途中にも山道の脇にオレンジ色のおおきな花、フシグロセンノウが目を楽しませてくれます。
さらに数分歩くとおおきな火山岩が目立ってきますが、この岩のあちこちに岩にへばりつくようにおおきな葉っぱが生えています。これがイワタバコなのです。ほんとうのたばこの葉に比べればそれは小さいのですが、岩に張り付く葉を見ればなるほどとうなずけます。まだ咲き始めでつぼみが多かったのですが、紫色の小花が咲いていました。この花は、沢沿いの水に濡れた岩に多いのですが、ここでは乾燥したところにも生えて、一月くらい雨が無くても元気にしています。 この3種の花はみな半日陰に咲く花です。

実はこれより前に7月の下旬にキツネノカミソリの咲き具合を見に岩櫃山を登ったのですが、そのときはまだ10本くらいしか咲いていませんでした。しかし、櫃の口を過ぎて岩の廊下を出たところでこの花に出会いました。イワシャジンのようですけれど葉の形が違うようです。この写真を撮っているとプーンといい匂いが漂ってきました。周りを見てもそれらしいものはありません。ところが遙か高みの岩の上にヤマユリがたくさん咲いていました。これこそ高嶺の花です。きっとだれにも見られず、毎年花を咲かせているのでしょう。