今年は雪が少ないので近くの山は登りやすい。雪の山となると、車で一時間は走らなくてはならない。すると、どうしても一日がかりになるので、つい敬遠してしまう。安直に登れる近くの山は私にとって便利な山だ。

ネットで調べて坂上の巣立山に行くことにした。国土地理院の基準点名は滝の澤となっていて、三等三角点である。温川沿いを走って坂上で国道406に入り、すぐ大柏木方面に右折し、さらに宮谷戸(みやがいと)で右折して林道に入る。クタビレ爺イさんのサイトの通り浄水場で駐車し、引き返すように歩き始めたが、どうも、この佐奈坂林道と並行する沢の、すぐ東の尾根を末端から登りたいので、駐車地点を変えようと、来た道を引き返して、林道が沢を渡るところに車を止めた。ここからすぐ下の道を、東に入って住宅のブザーを押して、山の話を聞いたが、ここらでは天狗山と呼んでいるらしい。石の祠があるところは石尊山というと、教えてもらった。ここからの道については判らないとのこと。熊に気をつけてくださいといわれた。

裏の畑を抜けて、竹藪を西側に避けたら、そこにはっきりした山道があった。道は尾根の右にそれていきそうなので、道から尾根に上がった。踏み跡らしいのを拾って少し行くと祠に出会った。尾根を行くと、さっきの道が合流し、以後ずっとこの道を行く。とてもよい道で障害物がない。きっとこの道は昭和の中頃まで使われていたのではないかと思う。それも、路がよいし、ある程度の幅もあるので、馬で薪炭材を運ぶために付けられた道と判断した。稜線近くなると路はジグザグになり、やがてY字に佐奈坂峠方面とこれから向かう山頂方向に分かれる。ここから山頂までは、小さいピークを二つ越えて、20分と一投足であった。途中白砂山、仙ノ倉岳、谷川岳の雪の連稜が樹の間越しに見える。これからの下りには、この景色はない。

山頂から真南に尾根を下る。すぐに鞍部。ここにも馬道が横切っていた。それと、熊の大量の落とし物。この下りコースにはこれがとても多かった。下山口まで小ピークごとに歩けそうな尾根がたくさんあるので、その都度、地図と地形を照らし合わせながら下った。近代兵器を持たないので、自分の勘と経験が頼りだ。下りたところは岩鼻。通りかかったお年寄りに話を聞いた。山の名はやはり天狗山といった。尾根上にあるアンテナは以前はもっと大きいのがあったが、いまは一つになったらしいこと。石尊山というのはこのアンテナの近くにあるらしい大きな祠であること。塩ノ平から石尊山を通ってここ岩鼻まで一周できる路があったこと。などが判った。山の路のことも聞いたが、やはり、馬で木材を搬出する路であること、ときに人力一人で搬出もしたこと。などを聞いて楽しいひとときであった。

この山はとてもよかった。藪こぎは全くなかったし、ちょっと樹をすかせば展望もいい。あまり歩行時間もかからない。東吾妻町も宝を生かした方がいいと思った。ちなみに私は車で15分かからなかった。

駐車地点。川の上?

祠とあるのとは別に、もっと大きな祠がANTの周辺にあるらしい。こんど行ってみたい。

登りにあったもの。尾根末端近く。石がご神体みたいだ。祠の中にも石が入っている。

右から馬道が合流する。

すばらしい路。滅多に人が来ないとは考えられないくらい。

稜線に出たところ。新しい林道が。

赤いペンキは登山者が付けたのかと思っていたが、どうやら林業関係者のものらしい。林班区の境界か?

 岩櫃山


白砂山

谷川岳

頂上。落ち葉を掻いて、それでもまだ埋まっている。三等。頂上の山名プレートは朽ちたか、一枚もなし。出発地点からここまで45分。

 磁石を出して、南に向かって下山。

 頂上を下ってすぐの鞍部に。去年の秋はよほど実り豊だったと見える。

 頂上から二つ目の小ピークの松の根元に祠。下で会ったおじいさんは、小さな石の祠があったか?と聞いた。

ふっと何かを感じて振り向いたらアンテナがあった。以前はもっと大きなのがあったという。ディジタル化のときにテレビの中継は、二ッ岳に統合されたのだろうか。いまは携帯みたいにも見える。

 実は、この山、我が家のすぐ横の、蜜岩神社のある高みから、おなじみの景色だった!アンテナも肉眼で見えていたのだった。あれがそうだったのだ。トホ‥。

一本になってしまったアンテナも、目をこらせば、いまでも肉眼で見えた。

 

追記:登りに使った尾根上の良い道の入り口は、私が車を止めた道のすぐ脇に幅1mくらいのゆるいスロープがあった。おやっ、と思って一瞬行こうかと思ったが、通り過ぎてしまった。きっとあれが入り口ではないかと思う。